レーシックは、大変安全な視力矯正手術だと言われています。しかし、わずかな割合で手術後に合併症を発症する可能性があります。
合併症の発生は、米国の統計では全体の1%以下に過ぎませんが、レーシックを受けようとする方は、しっかりと理解しておく必要があるでしょう。
レーシック、「もしも」のときは?
合併症にはいくつかの種類・症状があります。
万が一、合併症が発症した場合は、その症状に適した対処法や治療、あるいは再手術を行います。
合併症は時間を置くか、治療によって回復するとされおり、書籍「LASIK」ではこう書かれています。
何より覚えていただきたいと思うことは、これらの合併症は怖くないということです。 しっかり対応をしていけば必ず治るというもの、または再度の手術で治して行くことができるというものです。
昨今では、とりわけ「感染症」に対して、各クリニックとも徹底した対策を行っています。
レーシック手術の安全性は、十分に認められているというだけでなく、それに加えて感染症は、発症率の非常に低い合併症です。
2009年初め、たった一人の「眼科専門医の資格を持っていない医師」のずさんな衛生管理によって感染症が発症する事件が起こりました。患者さんや誠実にレーシックを行っている眼科にとって非常に残念なことでありましたが、以後、その事件を反面教師として、レーシックを行う環境はさらに安全なものになっていると言えるでしょう。
合併症の症例について
以下に、合併症の例を説明しますので参考にしてください。
ぼやける
レーシック手術直後は全体的にぼやけて、やや見え難い状態になることがあります。これは、数日から1週間ほどで見えるように改善してきます。
視力の安定に時間がかかる
高齢の方、または近視・乱視の度合いの強い方は、視力が安定回復するまでに1ヶ月から2ヶ月を要する場合があります。
結膜下出血
マイクロケラトームを使ってフラップを作るときに、結膜(白目の部分)の血管が傷ついて出血し、赤くなる場合があります。出血自体はすぐに止まり、1週間から2週間で自然に治癒します。
ドライアイ
レーシック手術後2ヶ月から3ヶ月ほど、眼が乾燥しやすい状態になります。これは一過性のもので、ドライアイ治療の点眼薬で治癒します。
異物感
レーシックの手術直後、稀に眼のゴロゴロ感やしみる感が出ることがあります。そのほとんどは数時間で治まります。眼をこすらないよう注意してください。
視機能の低下
レーシック手術後、稀に光がにじんで見えたり、眩しかったり、また明るい場所(あるいは夜間)に視力の低下を感じることがあります。通常は3ヶ月から半年ほどで、ほとんどの方が改善または消失しますが、稀に続くこともあります。
感染
角膜上皮が完全に修復するまでの間に、傷口から細菌が侵入して感染症を引きおこす可能性があります。清潔を保ち感染を防ぐことと、予防のために点眼薬を処方することがあります。
層間角膜炎
フラップの下に炎症を引きおこす場合があります。ほとんどの場合、点眼薬や内服薬で治癒します。非常に稀に悪化することがありますが、その場合はフラップの下を洗浄して治します。
近視の戻り
レーシックで一度回復した視力が、手術後6ヶ月から1年以上経過して、0.5~0.8程度の近視側へ戻ることがあります。「近視の戻り」によって仕事や生活の場で支障が出る場合は、再手術(追加矯正)を行うことがあります。
フラップの位置ずれ・しわ
レーシックの手術後、早い時期に眼をぶつけたり、強くこすったりすると、フラップがずれたり、しわができる場合があります。眼が霞んで見えたり、白いもやがかかった状態を感じますが、数日以内に整復すれば治りますので、すぐ医師の診察を受けてください。
不完全フラップ
フラップを作成するときに、ごく稀に予定よりフラップが薄くなったり、厚みが均一にならいことがあります。この場合、そのままフラップを閉じて、手術を一旦延期します。再び角膜が安定するのを待ち(最低3ヶ月以上)、再手術を行うことになります。
参考文献:「LASIK」 吉田圭介/スティーブン小谷野 著(日本工業新聞社)